老衰による細胞劣化が全身で進行していても、高齢者は病名を求め、薬を欲しがる。これまでの医療のメカニズムに、高齢者と医療側がたやすく乗ってしもまう。老衰を「古いもの」「役に立たたないもの」として認めたがらない。新しいモノが「豊かさ」を生み、それを一心に追い求めてきた。老衰を嫌うのはその弊害であるが、自身は気付かない。

患者の刻印を押されれば、手術や薬で手を打ち、また元の状態に戻ることができると願う。その「錯覚」に手を貸す医療側の責任は当然問われる。
だが、日本の医療教育では、「死」は教科書の対象になっていない。死への自然のプロセスを学ぶことはない。ギリシャのヒポクラテス以来の「医療者にとって死は敗北」という信条に絡め取られたままだ。

「業務全体を効率化する」というコンセプトで考えると、実はロボットに大した機能は必要ないことが多いと感じています。単純な機能のロボットでも、GPSなどの機能を最大限に生かして業務フローを組み立てれば、業務を効率化できるのです。実はロボットに対する顧客のニーズは、本当の意味でのニーズではないことが多い。彼らの頭の中にあるロボットのイメージに基づくニーズと、実際のロボットが貢献できるニーズというのは必ずしも一致しないからです。だから我々はまず、顧客が言うニーズを疑ってかかる必要があります。顧客から言われるままにロボットを開発するとたいていの場合、大失敗するからです。

情報社会になって情報の共有スピードが激しくなって、例えば、特に言語で言語化できる領域や論理化できる領域は競争が極めて激しいので、競争の差異がなくなっている気がしています。

むしろ、かっこいいとか、かわいいとか、おもろいとか、気持ちいいとか、そういった領域を文化依存度の高い領域と呼んでいるんですけれども、文化依存度の高い領域こそが競争の源泉になってきている。

つまり、文化依存度の高い領域は、作る方法論が言語や論理で記述できない。よって共有しにくく、競争の源泉になっていく。つまり差異を生んでいくのではないか。そういうふうに考えています。

ただ残念ながら、グローバル社会に出ていくと日本の企業や日本人はとてもコミュニケーションが下手だということを痛感しています。例えば、「言わないことが美徳だ」「一を言って十を知る」といった日本人のコミュニケーションにあるフィロソフィーは素晴らしいのですが、日本という国が言語、ロジック、価値観、体験などがハイレベルで共有しているハイコンテクストカルチャーだからこそ、"阿吽の呼吸"が通用する社会なのです。しかし、この点がグローバル社会では"弱み"になっているとも言えるのです。

川島:前回、和田さんは、デザインは「新しさ」を闇雲に追求するものじゃない。ヘリテージ=過去からの遺産を尊重した上で未来に提案するスタンスが必要だ、とおっしゃいました。その意味では、日本の戦後の都市デザインも建築デザインも、そしてクルマのデザインも、「歴史や公共性が欠落している」と?

和田:そう思います。たとえばクルマのボンネットって、周囲の光景が映り込みます。クルマが走れば映り込む風景もどんどん変わる。クルマを運転している人は、知らず知らずに街や社会の風景を、クルマを通して目にしている。一方で、道路に居並ぶクルマは、街行く人から見れば、まさに風景の重要な一部です。クルマに乗っている人には街が、街行く人にはクルマが、風景。だとすると、街や歴史を意識せずに、クルマのデザインをできるわけはない――僕はアウディでそれを教わりました。

 僕自身は、すごくクリエイティブに生きていると自負できます。フランスに飛び出したこともクリエイティブですし、フランスに住んでなぜフランス人にクリエイティビティがあるのか、どこから生まれるかを自分自身で整理してきましたから。

 フランス人がクリエイティブなのは、年間5週間も休むからです。また、インスピレーションの受け方にも秘密があります。なぜみんなバカンスで南仏に行くと思いますか。それは、あれらの場所が“国際的なハブ”だからです。多くの人が休みに来ていて、いろんな出会いや体験でいろんな情報が得られるからこそ、クリエイティブになれるのです。

 僕のお店は、LVMHグループのリブランディングをしている方がアートディレクターなのですが、彼とクリエイティブとは何か談義したんです。すると彼は「クリエイティブとはエゴイストだ」と言うんです。「エゴイストはみんなわがままで、性格が悪くてきつい人だ。それは、自分の意見を通したいから、自分を守りたいからだ。では、最高のエゴイストは誰か。それは出産前の女性だ」と彼は教えてくれました。母親は、生まれてくる子どもを守らなければなりませんから。

 世界最高のクリエイティブとは、子どもが生まれること。女性は子どもを産むことに対していろいろと知識と情報を得なければならない。子どもを大きくするために大切なのは、栄養ですよね。いろんな栄養を摂って子どもを大きくして膨れて爆発したエネルギーが出産です。クリエイターも、そうでなければならないというのが彼の持論でした。つまり、情報、知識をいろんなところから集めて、溜めたものを爆発させるから新たなものが生まれるのです。

「全ての『嫌い』という感情は、『願望憎悪』か『同族嫌悪』である」

ようするに、向かい風が強いほど離陸が早くできる、ということだ。これは、動力のないグライダでも同じだし、紙飛行機、ゴム動力機も同じ。ハンググライダもそうだし、たとえば、スキーのジャンプ競技なども、向かい風の方が飛距離が出るはずである。 向かい風というのは、つまり逆風のことだ。したがって、逆風が不利だとは一概にいえない。逆風の方が有利なものが多いのである。 「空気を読め」というのは、僕はとても良いアドバイスだと思っている。常に、社会の流れを把握し、大勢の人たちの動きを観察することは大切だ。そして、空気を読んだうえで、その空気に流されるのではなく、空気に向かって進む。つまり、あえて流れに逆らうためにも、タイミングを計る必要があるだろう。

結局、空気を読むというのは、そういうことである。空気が読めないのでは話にならないが、読めてもただ流されるだけならば、ほとんど読んでいないのと同じ結果に見える。ぼうっとしていれば、だいたい空気に流されるものだからだ。

猪子:手が動く人しかチームラボにはいない、ってよく言ってるんだけど、これは分かりやすいから言ってるだけ。本当は嘘で、いわゆるまとめる人っていうのはプロジェクトに必ずいて、僕らはそれをカタリスト、触媒って呼んでいて。言葉にするとプロジェクトをマネージメントしたり、クライアントと調整したり、クライアントを説得したり、エンジニアのテンション上げたり、デザイナーのテンション上げたり。

昔で言うとプロジェクト・マネージャーとか、ディレクターみたいなのとか、プロデューサーとか、そういう職業になるのかもしれないのだけれど。プロデューサー、ディレクターとはだいぶ違うのは、そんなにディレクションせずにチームの人達が考えやすい環境を作るとかテンションを上げるとか、環境とかテンションとかをマネージメントすることを重要視する。

考えやすいチームワークを、共にキュレーションを生みやすい状況をできるだけ作る、みたいな仕事の人ってすごくいっぱいいて。でも、どういう人がすごく良いカタリストなのか、結果として「この人はすごく良いカタリストだ」ってわかるのだけれど、それを言葉にすると何なのか、っていうのは、僕らも良くまだ分かってなくて。自分もすごい興味あるのだけれど。そんな回答でいいですか?